今回のテーマは「修辞法とは」です。
日本語の文章表現には、修辞法(レトリック)と呼ばれるテクニックが用いられています。
文章では伝わりにくい感情や情景を表現するには、11種類の修辞法を活用するのが効果的です。
そこで、それぞれの使い方や活用するメリットを解説します。
運営者プロフィール
- 2020年:未経験からフリーランスのライターに
- 2023年:ライター月収37万円を達成
- 2024年:電子書籍を出版
「文章でどこかの誰かの役に立とう!」をテーマに当サイトを運営しています。SEO・取材・電子書籍など、幅広い案件に対応中。
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修辞法(レトリック)とは?
修辞法(レトリック)は、説得力や表現力を高めるために用いられる表現手法です。
おもに文章執筆やスピーチに用いられており、伝えたい内容を効果的にアプローチできます。
修辞法には、比喩や擬人法などのさまざまな種類がありますよ。
たとえば、あえて述語を文頭におく倒置法は、伝えたい要素の強調や感情を引き立てるのに効果的です。
修辞法を上手く活用すれば、魅力的な文章で読者の関心を引きつけられます。
【用途別】11種類の修辞法
ここからは、一般的に用いられている11種類の修辞法を紹介します。
修辞法の名称だけを見ると、あまり馴染みがないように思うかもしれません。
しかし、日頃から何気なく読んでいる文章には、さまざまな修辞法が活用されています。
1.比喩(ひゆ)
比喩は、物事や感情を「別の何か」に見立てて伝える手法です。
抽象的な感覚や概念に対して、読者が文章の意味をより具体的にイメージできます。
小説やエッセイでも用いられており、以下の3つは比喩の代表的な手法です。
直喩(ちょくゆ) | 「~のような」「~みたいな」など、例えの表現を明確に示す手法。 例文:綿あめのような雲、子どもみたいなはしゃぎ方 |
---|---|
隠喩(いんゆ) | 「~のようだ」という形式を使わず、例えの表現を明確にしない手法 例文:彼は鋼のメンタルの持ち主だ |
換喩(かんゆ) | 物事を密接に関連する「別のもの」に置き換えて表現する手法 例文:ベートーベンを聴く (実際には、ベートーベンという人物ではなく作品を聴いている) |
直喩 (ちょくゆ) | 「~のような」「~みたいな」など、例えの表現を明確に示す手法。 例文:綿あめのような雲、子どもみたいなはしゃぎ方 |
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隠喩 (いんゆ) | 「~のようだ」という形式を使わず、例えの表現を明確にしない手法 例文:彼は鋼のメンタルの持ち主だ |
換喩 (かんゆ) | 物事を密接に関連する「別のもの」に置き換えて表現する手法 例文:ベートーベンを聴く (実際には、ベートーベンという人物ではなく作品を聴いている) |
2.倒置法
倒置法は、文章の並びを入れ替えて表現する手法です。
述語を文頭におく特徴があり、文章のリズムに変化を加えたり印象を強めたりしたいときに活用します。
また、情景に余韻を残す効果があるため、文学的な表現や感情を伝えるコラム・エッセイにも効果的です。
多用すると文章の流れを乱してしまう場合もあるため、全体の1~2箇所ほどに抑えるのがポイントです。
通常 | 倒置法 |
---|---|
彼は出馬することを決意した。 | 彼は決意した、出馬することを。 |
今日もまた新しい一日が始まる。 | 今日も始まる、また新しい一日が。 |
遠ざかっていく彼の背中に思いっきり手を振った。 | 思いっきり手を振った、遠ざかっていく彼の背中に。 |
通常 | 倒置法 |
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彼は出馬することを決意した。 | 彼は決意した、出馬することを。 |
今日もまた新しい一日が始まる。 | 今日も始まる、また新しい一日が。 |
遠ざかっていく彼の背中に思いっきり手を振った。 | 思いっきり手を振った、遠ざかっていく彼の背中に。 |
3.体言止め
体言止めは、名詞や代名詞などの「体言」で文末を終わらせる手法です。
重要な体言を文末に配置することで、読者の印象に残りやすい効果を期待できます。
本来は「です」「ます」で終わる文章をあえて名詞句で閉じます。
また、アクセント的に使うことで、単調な文章にリズムを生み出す効果も期待できます。
ただし、体言止めは敬語のない文章になりやすいため、ビジネス文書には適していません。
通常 | 体言止め |
---|---|
多くの国民が新NISAに関心をもちはじめた。 | 多くの国民が関心をもちはじめた新NISA。 |
あの日の先生の言葉がいまでも心に残る。 | いまでも心に残る、あの日の先生の言葉。 |
静寂のなかで時計の音が響く。 | 静寂のなか、響く時計の音。 |
通常 | 体言止め |
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多くの国民が新NISAに関心をもちはじめた。 | 多くの国民が関心をもちはじめた新NISA。 |
あの日の先生の言葉がいまでも心に残る。 | いまでも心に残る、あの日の先生の言葉。 |
静寂のなかで時計の音が響く。 | 静寂のなか、響く時計の音。 |
4.擬人法
擬人法は、対象物を人間に例えて表現する手法です。
喜怒哀楽の感情や五感の特性を、人間ではない物事に付与します。
人である読者にとって、感情や五感は身近な表現です。
無機質で伝わりにくい物事が、感情移入しやすい表現に置き換えられます。
通常 | 擬人法 |
---|---|
やわらかな風を頬に受けた。 | やわらかな風が頬を撫でていった。 |
月が雲の後ろに隠れている。 | 月が恥ずかしそうに雲の後ろに隠れている。 |
風が吹いて、木々の葉が揺れている。 | 風が木々に囁きかけ、葉は楽しそうに揺れている。 |
通常 | 擬人法 |
---|---|
やわらかな風を頬に受けた。 | やわらかな風が頬を撫でていった。 |
月が雲の後ろに隠れている。 | 月が恥ずかしそうに雲の後ろに隠れている。 |
風が吹いて、木々の葉が揺れている。 | 風が木々に囁きかけ、葉は楽しそうに揺れている。 |
5.擬態法(オノマトペ)
擬態法(オノマトペ)は、物事の様子や音を文字で表現する手法です。
「人の感情」や「動物の鳴き声」など、臨場感のあるニュアンスを読者に伝えられます。
擬態法には「擬態語」や「擬音語」が含まれます。
擬態法を効果的に活用すれば、人の感情や現場の雰囲気がよりリアルに表現できます。
また、長文になりがちな描写を簡潔にまとめたい場合にも効果的です。
- 彼はそわそわとしながら発表を待った。
- 彼女の目はきらきらと輝いていた。
- 空を見上げると、もくもくとした雲が浮かんでいた。
- 雨がザーザーと降っている。
- 犬がキャンキャンと吠える。
- 寝起きの彼がのそのそと歩いている。
6.列叙法(れつじょほう)
列叙法は、いくつかの関連する情報を並べて記述する手法です。
情報を整理して伝えたり、流れを強調したりするときに効果的です。
また、列叙法には「列挙法」と「漸層法」という2種類の技法があります。
列挙法
列挙法では、複数の関連する要素や同じレベルの言葉を並べて記述します。
情報を整理して、明確に伝えたい場合に効果的です。
- 受験日の準備物は、受験票・筆記用具・腕時計です。
- 彼の好きなスポーツは、バレー・バスケット・バドミントン・テニスです。
- 減量するためには、毎朝のジョギング・筋トレ・カロリー計算が欠かせません。
漸層法(ぜんそうほう)
漸層法(ぜんそうほう)は、語句を徐々に重要性が増すように展開させていく手法です。
クライマックスに向けて盛り上げるように、状況の変化や感情の動きを伝えます。
読者の関心を引きつけるため、文章の盛り上がりの場面で活用するのも効果的です。
- 彼の意見に賛成する人が5人、10人と増えていき、最終的には満場一致の結果となった。
- 空がみるみるうちに暗くなり、やがて雨がぽつぽつと降り始め、ついには土砂降りとなった。
- 壇上でうつむいていた彼が意を決したかのように顔をあげ、満面の笑みを浮かべ、聴衆に向かって大きな声で宣言した。
7.反復法
反復法は、同じ言葉やフレーズを繰り返して使う手法です。
同じ言葉を繰り返すことでリズムが生まれ、読者の印象に残りやすくなります。
感情や情景を強く訴えたいときに使うのも効果的です。
キャッチコピーのような短文や文学的な作品にも、よく使われる表現方法です。
- 彼はロープがほどけないように、固く、固く結んだ。
- 鳥がいっせいに飛び立ち、大空へ高く高く舞い上がった。
- 桜の花びらが、ひらりひらりと舞い落ちた。
8.反照法
反照法は、文章の全体をとおして冒頭と結末に同じ意味の言葉を繰り返す手法です。
複数の話題がある長文で趣旨を再確認したいときに活用します。
結論を繰り返す「PREP法」をイメージするとわかりやすいかも。
通常 | 反照法 |
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通常 | 反照法 |
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9.同語反復(トートロジー)
同語反復(トートロジー)は、同じ言葉をシンプルに繰り返す反復法の一種です。
以下のようなケースで、読者に強く印象づけたいときに活用します。
- 状態や性質に確信があるとき
- 特徴が一般的であるとき
ただし、単純な繰り返しは、無意味な活用になりやすいので注意しましょう。
通常 | 同語反復 |
---|---|
盗んだものが取るに足らないものでも、犯罪であることには変わりない。 | 盗んだものが取るに足らないものでも、犯罪は犯罪だ。 |
他人と自分を比べても意味はない。ありのままの自分を大切にしよう。 | 自分は自分。他人は他人。 |
通常 | 同語反復 |
---|---|
盗んだものが取るに足らないものでも、犯罪であることには変わりない。 | 盗んだものが取るに足らないものでも、犯罪は犯罪だ。 |
他人と自分を比べても意味はない。ありのままの自分を大切にしよう。 | 自分は自分。他人は他人。 |
「同語反復」の例文
10.緩叙法(かんじょほう)
緩叙法(かんじょほう)は、直接的な表現を避ける手法です。
表現を弱めたり否定形を用いたりすることで、内容を強調する効果があります。
否定的な表現を直接的ではなく、遠回しに伝えられます。
とくに以下のニュアンスを伝えたい場合に効果的です。
- 否定的な表現をやわらげたい
- 部分的に肯定したい
通常 | 緩叙法 |
---|---|
高級時計は買えない。 | 高級時計は買えそうにもない。 |
彼女は賑やかな場所が嫌いだ。 | 彼女は賑やかな場所が好きではない。 |
格闘技を2年ほど経験したが、まだまだ弱い。 | 格闘技を2年ほど経験したが、まだまだ強くはない。 |
通常 | 緩叙法 |
---|---|
高級時計は買えない。 | 高級時計は買えそうにもない。 |
彼女は賑やかな場所が嫌いだ。 | 彼女は賑やかな場所が好きではない。 |
格闘技を2年ほど経験したが、まだまだ弱い。 | 格闘技を2年ほど経験したが、まだまだ強くはない。 |
11.誇張法(こちょうほう)
誇張法は、物事を実際よりも大げさに強調する手法です。
筆者が伝えたい感情や情景を読者にわかりやすく伝えられます。
たとえば、単純に「おいしい」と伝えるよりも「ほっぺたが落ちそうなくらい」と表現するほうが、おいしさが具体的に伝わるはずです。
インパクトのある文章表現は、物事の特徴や魅力をより具体的に引き出せます。
ただし、誇張によって事実と異なる情報が伝わってしまう可能性があるため、ビジネス文書や論文などでは使用を控えましょう。
- 彼の声は地球の反対側まで届くほど大きい。
- バイト終わりの待ち時間が永遠に感じた。
- 暑くてからだが溶けてしまいそうだ。
修辞法を活用するメリット
修辞法を活用するメリットには、以下の3つが挙げられます。
修辞法のメリットを活用しながら、単調な文章を魅力的な表現に書き換えてみましょう。
文章表現の幅が広がる
役割にあわせて修辞法を使い分ければ、文章表現の幅が広がります。
一方で文章表現を意識せずに書くと、感情の起伏やテンポのよさを感じられない単調な文章になりがちです。
読者を飽きさせる単調な文章は、記事を最後まで読んでもらえない要因でもあります。
修辞法を効果的に活用すれば、より印象に残るような文章表現が可能です。
読者の感情をゆさぶる豊かな表現力が、最後まで読んでもらえるような文章につながります。
印象強い文章表現が身につく
修辞法を活用すると、意図するイメージを印象強く読者に伝えられます。
たとえば「キメが整った肌」を表現する場合には、単純に「つるつるの肌」とせずに「むき卵のようなつるつるの肌」と表現するのが効果的です。
「~のような」という比喩の手法を活用することで、なめらかでキメの整った肌を具体的に想像できます。
また、五感に訴えるような文章表現は、読者に伝わる情報のズレを防ぐためにも重要なポイントです。
より具体的なイメージが伝わるような文章の工夫が、筆者と読者の認識違いを軽減します。
感情や情景をより鮮明に伝えられる
修辞法を使うと、感情や情景を鮮明に伝えられます。
たとえば、下記は「反復法」を用いた文章です。
彼女は合否通知をいまかいまかと待ちわびていた。
「いまかいまか」という表現により、合格通知を待つ期待や不安がより鮮明に伝わるはずです。
比喩がもたらすイメージをヒントに、読者は視覚的に感情や情景を想像できます。
まとめ|表現力豊かな文章を執筆してみよう!
今回は「修辞法とは」をテーマに、以下のコンテンツを解説しました。
Contents
ただ事実を述べるだけの文章では、読者の心を動かせません。
言葉の使い方に工夫を凝らしながら、文章に深みやリズムを与える修辞法が役立ちます。
修辞法を学び、使いこなすことで、より魅力的で説得力のある文章が書けるはず!
まずは今回紹介した「11種類の修辞法」から取り入れて、表現力豊かな文章を執筆してみてください。
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