話し言葉と書き言葉って、何が違うのかな?
文章執筆には「書き言葉」を用いるのが基本です。
しかし、文章執筆に慣れたWebライターでも、普段のコミュニケーションで使い慣れている「話し言葉」が混在してしまいます。
そこで今回は『話し言葉と書き言葉の違い』をテーマに、使い分けの方法や理解すべき文法表現などを解説します。
参考例も記載するので、ぜひチェックしてみてください。
執筆者プロフィール
- Webライター(4年)
- Webディレクター(1年)
- 元システムエンジニア(9年)
未経験からフリーランスのWebライターに転身。
保有資格:SEO検定1級・FP3級
2つのブログを運営しています。
話し言葉と書き言葉の違い
話し言葉と書き言葉の違いは、使用する場面と目的にあります。
話し言葉は「口語体」とも呼ばれ、おもに会話で用いる言葉です。
日常会話やSNS・メールなど、コミュニケーションをとりたい場面で用いられます。
話し言葉は、親しみやすさやリラックスした印象を与えるのに効果的。
一方で、書き言葉は「文語体」とも呼ばれ、おもに文章で用いる言葉です。
ビジネス文書や原稿・論文など、公的な文書で用いられています。
Webライティングでは、おもに「書き言葉」を使用します。
ただし、話し言葉と書き言葉の違いを理解し、場面に応じて適切に使い分けるのが重要です。
想いや熱意を伝えたい場面では、あえて話し言葉を使うのも効果的。
話し言葉と書き言葉の比較一覧
文章執筆で使用頻度の高い「話し言葉」と「書き言葉」を一覧表にまとめてみました。
普段のWebライティングで無意識に使用している「話し言葉」がないかチェックしてみてください。
言葉の種類 | 話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|---|
副詞 | いっぱい/たくさん | 多くの/豊富な |
いつも | 常に | |
さっき | 先ほど | |
だいたい | 約/およそ | |
たぶん | おそらく | |
だんだん | 次第に/徐々に | |
ちゃんと | きちんと/正しく | |
ちょっと | 少し/わずか | |
とっても/とても/すごく | 非常に/大変 | |
どんどん | 急速に | |
もっと | さらに | |
やっと | ようやく | |
やっぱり | やはり | |
一番 | もっとも | |
今(今まで) | 現在(これまで) | |
絶対に | かならず | |
全然 | まったく | |
全部 | すべて | |
接続詞・接続助詞 | けど/けれど | が |
たら/れば | であれば/すると | |
でも/だけど/ですが/けれども | しかし/だが/とはいえ | |
なので/ですから/だから | そのため/したがって | |
疑問詞 | どうして/なんで | なぜ |
どんな | どのような | |
どっち | どちら/いずれ | |
指示詞 | こっち/そっち/あっち/どっち | こちら/そちら/あちら/どちら |
こんな/そんな/あんな/どんな | このような/そのような/あのような/どのような | |
こんなに/そんなに/あんなに/どんなに | これほど/それほど/あれほど/どれほど | |
その他 | いい | よい |
いろんな(色々な) | さまざまな | |
とか | など | |
みたいな | のような |
話し言葉と書き言葉の使い分け
話し言葉と書き言葉は、読者に与える印象が大きく異なります。
話し言葉は親しみやすく、日常会話やSNSなどのコミュニケーションに適した表現です。
一方、書き言葉はビジネスシーンで使われ、文法に忠実でていねいな表現に特徴があります。
Web記事に使用するのも「書き言葉」が基本。
目的に適した印象を与えるためにも、話し言葉と書き言葉を活用シーンにあわせて使い分けるのが重要です。
ただし、それぞれの言葉を混在させないように注意しましょう。
とくにWeb記事では、統一感のない文章表現が稚拙な印象や違和感を与えてしまいます。
Web記事で話し言葉を使用するシーン
Web記事で話し言葉を使用するのは「NG」なのかな?
Web記事では、書き言葉を使用するのが基本です。
しかし、あくまでも僕自身の個人的な意見ですが、以下の用途では話し言葉を使用するのも効果的だと思います。
- 筆者の想いや感情を伝えたいとき
- 子ども向けに親しみやすい印象を与えたいとき
たとえば、以下の文章を比較して、どちらのほうが感情が伝わりますか?
「少し時間をいただけますか?先ほど小説を読みました。非常に面白い内容でした!」
「ちょっと聞いて!さっき小説を読んだんだけど、めっちゃ面白かった!」
上記の例文は少し大げさな表現ですが、話し言葉のほうが「筆者の表情」を想像しやすいはずです。
感情や熱量を伝えるなら、会話のコミュニケーションに用いる話し言葉が適しています。
また、活用シーンは限定されますが、想定読者の年齢層が低い場合も話し言葉が効果的です。
「なぜ、お化けを見るとこわいのでしょうか?」
「なんで、お化けを見るとこわいんだろう?」
とはいえ、話し言葉と書き言葉が無意識に混在するのは避けるべきです。
しかし、意図的に使い分けるのは、個人的には賢いライティングテクニックだと思います。
「Web記事=書き言葉」と固定概念にとらわれず、読者や目的にあわせて効果的に使い分けよう!
書き言葉には正しい文法の理解が必要
Web記事には、基本的に書き言葉を使用します。
しかし、話し言葉を意識するだけでは足りません。
正しい文法を理解しなければ、誤った言葉を使ってしまう可能性があります。
焦らずに1つずつ理解してみましょう。
「ら」抜き言葉
「ら」抜き言葉は、日常会話で使いがちな口語表現の一つです。
本来「られる」と表現すべき動詞から「ら」が省略された言葉を指します。
- 食べれる(食べられる)
- 見れる(見られる)
- 決めれる(決められる)
ら抜き言葉は、口頭での会話では広く用いられています。
しかし、文書やビジネスシーンには適していません。
Web記事で書き言葉としての正確性と品質を保つなら、正しい文法を使用するべきです。
読み手に対して信頼感を伝えるためにも、ら抜き言葉の仕様には注意しましょう。
「い」抜き言葉
「い」抜き言葉も、日常会話で使いがちな口語表現です。
おもに動詞「している」の「い」を省略した表現を指します。
- 話してる(話している)
- 待ってる(待っている)
- 走ってる(走っている)
い抜き言葉は、日常会話では違和感なく使用できます。
しかし、文章表現としては不適切であり、正しい文法に基づいた表現を心がけるべきです。
Web記事では、相手に与える印象や文脈を考慮しながら、適切な言葉遣いを選ぶのが重要です。
「さ」入れ言葉
「さ」入れ言葉とは、謙譲語を意識しすぎて本来は不要な「さ」を入れてしまう表現です。
ていねいに伝えたいつもりが、結果として文法的に間違った稚拙な印象を与えてしまいます。
- 書かさせていただく(書かせていただく)
- 読まさせていただく(読ませていただく)
- 手伝わさせていただく(手伝わせていただく)
正しい敬語表現を用いるためには「させていただく」と「せていただく」の使い分けが必要です。
使い分けの観点としては「○○する」に対して使用する場合に限定しましょう。
- 書く(書かさせていただく)→(書かせていただく)
- 読む(読まさせていただく)→(読ませていただく)
- 手伝う(手伝わさせていただく)→(手伝わせていただく)
- 話す(話させていただく)→(お話させていただく)
- 返す(返させていただく)→(返却させていただく)
- 施す(施させていただく)→(支援させていただく)
- 検討する(検討させていただく)
- 対応する(対応させていただく)
- 執筆する(執筆させていただく)
動詞が「~す」の形であれば「させていただく」に変換しても文法上の誤りはありません。
しかし、一般的には使用頻度の低い表現となるため、稚拙な印象を与えてしまいます。
基本的には「○○する」を「させていただく」に変換すると違和感がありません。
「させていただく」を使用する場合は「書く→執筆」のように、動詞を名詞に変換するのも効果的です(執筆させていただく)
「れ」足す言葉
「れ」足す言葉とは「できる」形の動詞に不要な「れ」を加えた言葉です。
- 書けれる(書ける)
- 読めれる(読める)
- 飲めれる(飲める)
れ足す言葉は、正しい文法とは認められていません。
しかし、西日本の一部地域では、方言としての側面もあるようです。
最近では、ら抜き言葉と同様に、れ足す言葉も「若者ことば」として指摘される傾向にあります。
言葉の使い方は地域や世代によって異なるため、誤用とされる表現も含めて背景を理解するのも大切です。
冗長表現
冗長表現とは、不要な語句や表現が含まれる文章を指します。
情報をスムーズに伝えるためには、無駄のないシンプルな文章が求められます。
- ~することができる(~できる)
- ~したいものである(~したい)
- ~するようにしてみる(~してみる)
同じ内容の文章でも、より短いほうがスムーズに伝わります。
とくに文末表現の短縮は、執筆案件でも指摘されやすい要素です。
二重表現
二重表現とは、同じ意味の語句が重複する表現です。
同義語や同意語の重複を避けるのも、シンプルな文章作成において欠かせません。
- まず最初に(まずは/最初に)
- 約100人程度(約100人/100人程度)
- 違和感を感じる(違和感がある)
たとえば「頭痛が痛い」は「頭が痛い」または「頭痛がする」と書くべきです。
意味が重複している語句をチェックしながら、シンプルで読みやすい文章を執筆しましょう。
文末表現
Webライティングの文末表現は「です・ます調」が基本です。
しかし、ていねいさや親しみやすさを意識すると、以下のような文末表現を使用してしまう傾向にあります。
- ~なのです(~なんです)
- ~なものです
- ~になります
「~なのです」「~なものです」は、どうしてもセリフ口調の印象が強まります。
当ブログのマスコットキャラクター「ごーすとらいたーくん」なのです!
サイトやコンテンツの方針として求められない限り、文末表現は「です・ます調」に統一しましょう。
また「~になります」は、変化や移行を表す文末表現です。
例文のように「空席あり→満席」と状態が変化する場合は「~になります」を使用します。
しかし、状態の変化がない文章では「必要です」のように「です・ます調」に言い換えましょう。
あいまい表現(消極的表現)
あいまい表現(消極的表現)は、自信がないときや確証を避けたいときに用いられる表現です。
- ~みたいな
- ~かな(~かも)
- ~と思います
- ~かもしれません
日常会話では自然に使われますが、文章執筆では避けるべき表現です。
あいまいな表現は情報の正確性や信頼性に欠けるため、読者に「本当に?」「結局どうなの?」と疑問を残してしまいます。
書き言葉では「○○です」と言い切る表現が適切です。
とくに疑問や悩みを解決したい読者には、明確な結論をはっきりと伝えましょう。
カジュアル表現(若者ことば)
カジュアル表現(若者ことば)は、親しい間柄のコミュニケーションで使われる表現です。
- マジで
- ヤバイ
- 超○○
- ぜんぜん○○
- ~かも
Web記事の読者は、基本的に「知人」ではありません。
世代を問わず誰でも読みやすい(わかりやすい)文章を書くためにも、書き言葉を意識しましょう。
今どきの若者言葉って、日常会話ではよくあるけど、書き言葉にするとちょっとナシなんだよね。例えば「マジで」や「ヤバイ」とか仲間内ではよく使うけど、書くときにはちょっと控えめにしたほうがいいみたい。
それと「全然大丈夫」とか「全然おいしい」ってフレーズも、若者はよく使うけど間違ってるみたい。ほんとは否定的なものに使う言葉だから「大丈夫です」「おいしいです」ってのが正式な言い方らしい。
つまり、書き言葉ってのは、誰が読むかわからないから、世代を問わずわかりやすい表現を心がけたほうがいいってこと。若者ことばも会話ではアリだけど、書くときはちょっと考え直したほうがいいよね。
話し言葉のチェックに便利なサービス・アプリ
話し言葉のチェックには、便利なツールを活用するのもおすすめ。
一般的な文章校正ツールはさまざまですが、とくに「話し言葉のチェック」に役立つものをピックアップしてみました。
文賢
文賢は、文章作成をサポートするためのWebサービスです。
100を超えるチェック項目と4000以上の表現データベースを搭載しており、話し言葉から文章全体の間違いまで幅広くチェックできます。
豊富な表現データベースを活用できる文賢は、校正に対する解説や改善例の提示などのサポート機能も豊富です。
レギュレーションにあわせた辞書の共有やルール設定にも対応しており、チームの文章作成における品質保持にも役立ちます。
読みやすく、正しい文章表現を求められるプロのWebライターにおすすめのツールです。
\ 文章校正を幅広くサポート /
子どもの作文話しことばチェッカー
「子どもの作文話しことばチェッカー」は、東京学芸大学リテラシー科研によって開発された「話し言葉から書き言葉への変換」に特化したWebアプリです。
品詞別に語彙数をカウントできるため、文の構造を理解しながら、学習支援ツールとしても活用できます。
子どもの作文を指導する親や教師にも便利なサポートツールです。
子どものために大人が使うツールではありますが、簡易的なチェックツールとしては十分に役立ちます。
文章に適した「言葉選び」を楽しもう!
今回のテーマ「話し言葉と書き言葉の違い」をまとめると、以下のとおりです。
Webライターが執筆する文章には「書き言葉」を用いるのが基本です。
そして、書き言葉を意識するなら「正しい文法」の理解も欠かせません。
- 正しい文法を理解する
- 話し言葉と書き言葉の違いを把握する
- 目的にあわせて使い分ける
文章執筆では使用しない「話し言葉」も、感情や親しみやすさを伝えるアクセントとして効果的です。
個人的には、Webライティングの正解・不正解は「読者が決めること」だと思っています。
よくあるルールにとらわれすぎず、楽しく、熱量が伝わるような「言葉選び」を楽しみましょう!
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