係り受けのねじれを防ぐ5つのポイント【練習問題あり】

「執筆した文章の意図が正しく伝わらない…」と悩んだことはありませんか?

読者に伝わる「わかりやすい文書」を書くためには、係り受けの理解が欠かせません。

文章が不自然になったり読者に誤解を与えたりするのは、係り受けの「ねじれ」がおもな要因です。

そこで今回は「係り受けのねじれを防ぐポイント」をテーマに、基本的な定義から具体例まで詳しく解説します。

taku

記事の後半には練習問題も用意しました。ぜひ参考にしてみてください。

執筆者プロフィール

taku
  • Webライター(4年)
  • Webディレクター(1年)
  • 元システムエンジニア(9年)

未経験からフリーランスのWebライターに転身。
保有資格:SEO検定1級・FP3級
2つのブログを運営しています。

目次

言葉のつながりを示す「係り受け」

係り受けとは、言葉と言葉のつながりを示す概念です。

たとえば「私は新しい記事を執筆した」という文章は、以下のように言葉をつなげて成り立っています。

言葉をつなげて文章が成立する

新しい 記事 執筆した

 の言葉を の助詞がつないで文章が成り立つ。

しかし、言葉のつなげ方や順序を間違えてしまうと、文章の意味が伝わりにくい「ねじれ」が発生します。

係り受けの正しい使い方を理解するには、以下2つの観点が重要です。

主語と述語のねじれ

文章の主語と述語が正しく対応していない状態では、係り受けの「ねじれ」が発生します。

主語と述語の関係性が不自然な文章は、読者に違和感を与えてしまいます。

ねじれた例文

「新しい記事は私が執筆した」

  • 主語:新しい記事
  • 述語:執筆した
正しい例文

「私は新しい記事を執筆した」

  • 主語:私
  • 述語:執筆した

上記の正しい例文では、主語である「私」と述語「執筆した」を違和感なくつなげられます。

しかし、ねじれた例文では、主語「新しい記事」に対して「執筆した」という不自然な述語がつながります。

修飾語と被修飾語のねじれ

係り受けのねじれには、修飾語と被修飾語の関係性も考慮する必要があります。

ねじれた例文

「私が3日前に書いた記事を更新した」

  • 修飾語:3日前に
  • 被修飾語:「書いた」または「更新した」

上記のねじれた例文では「3日前に」が修飾語です。

しかし、被修飾語の捉え方次第では、以下2パターンの解釈に分かれてしまいます。

  • 私が「3日前に書いた記事」を更新した?
  • 私が書いた記事を「3日前に更新」した?

文章の意図を正しく伝えるためには、修飾語を入れる位置の考慮が必要です。

具体的な方法は、以降の見出しで詳しく解説します。

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係り受けのねじれを防ぐ5つのポイント

係り受けのねじれを防ぐ方法として、以下5つのポイントを理解しましょう。

主語と述語のみで成立させること

係り受けのねじれを防ぐには、主語と述語のみを抜き出しても成立する文章を意識すべきです。

よい例文

「私は集中したいときにコーヒーを飲みます」

  • 主語:私
  • 述語:飲みます
ねじれた例文

「コーヒーは私が集中したいときに飲みます」

  • 主語:コーヒー
  • 述語:飲みます

上記のねじれた例文では、主語と述語を抜き出した文章が「コーヒーは飲みます」と不自然です。

人の動作である「飲む」に対して、主語は人である「私」が適しています。

主語と述語がねじれた文章を修正するには、以下の2パターンが基本です。

  1. 主語に述語をあわせる
  2. 述語に主語をあわせる
修正例:主語に述語をあわせる

「コーヒーは私が集中したいときの必須アイテムです」

  • 主語:コーヒー
  • 述語:必須アイテムです
修正例:述語に主語をあわせる

「私は集中したいときにコーヒーを飲みます」

  • 主語:私
  • 述語:飲みます
taku

文章に違和感があるときには、主語と述語を取り出して「自然につながるかどうか」をチェックしましょう。

修飾語と被修飾語を近づけること

読者の認識違いを避けるためには、修飾語と被修飾語の配置を意識するのも大切です。

修飾語が「修飾している対象」を明確にしないと、読者が誤った解釈をしてしまう可能性があります。

例文

「美しい海に広がるサンゴ礁」

  • 修飾語:美しい
  • 被修飾語:「海」または「サンゴ礁」

上記の例文では「美しい」の修飾する対象が不明確(あいまい)です。

とくに「美しいサンゴ礁」を意図する場合には、文章が適切ではありません。

修飾語の関係があいまいな文章を修正するには、修飾語を被修飾語の直前に配置する必要があります。

修正例①

「サンゴ礁が広がる美しい海」

  • 修飾語:美しい
  • 被修飾語:海
修正例②

「海に広がる美しいサンゴ礁」

  • 修飾語:美しい
  • 被修飾語:サンゴ礁

修飾語と被修飾語を近づけることによって、文章の意図を正確に伝えられます。

一文を短くまとめること

意図した内容を読者に伝えるためには、一文を短くまとめるのが効果的です。

文章が長文化すると言葉の関係性が複雑になってしまい、書き手自身も伝える内容の整理に苦戦します。

長文でわかりにくい例文

「初心者のWebライターが、いきなり高単価の案件を受注するのは困難なので、まずは実績を積み重ねるためにも、低単価の案件も検討すると、ポートフォリオが充実するのでおすすめです。」

  • 主語:初心者のWebライター
  • 述語:ポートフォリオが充実するのでおすすめです

上記のような長文では、主語と述語の関係があいまいになってしまいます。

その原因は、一文に対して複数の情報を詰め込んでいるからです。

文章から伝わる情報量が増えてしまうと、読者は内容の理解に負担を感じてしまいます。

短くまとめた例文

「初心者のWebライターが、いきなり高単価の案件を受注するのは困難です。まずは実績を積み重ねるためにも、低単価の案件も検討しましょう。ポートフォリオが充実するのでおすすめです。」

上記のように「一文一意」を意識すると、句点「。」の区切りごとに文章が短くまとまります。

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一文の情報量が減るため、伝えたい内容を的確に伝えられます。

受動態と能動態を使い分けること

主語と述語のねじれが発生する要因には、受動態と能動態の混在も挙げられます。

受動態と能動態には、以下のような違いがあります。

受動態
能動態
  • 主語が動作を受ける文章に用いる
  • おもに「モノ・コト」が主語
  • 「~される」と表現する
  • 主語が動作を行う文章に用いる
  • おもに「人・生き物」が主語
  • 「~する」と表現する

受動態の文章は、主語が動作の影響を受ける場合に用いられます。

また、以下の例文のように、主語が「モノ・コト」となる場合は基本的に受動態です。

受動態の例文

「私が書いた小説は、コンテストの優秀作品に選ばれた」

「新しいソフトウェアは、来週リリースされます」

受動態の主語となる「モノ・コト」は、それ自体が動作を起こすことはありません。

主語が動作を起こす能動態と混雑しないように注意しましょう。

能動態の例文

「コンテストに応募するため、私は小説を書いた」

「私は、来週リリースする新しいソフトウェアを開発した」

一方で能動態の主語は、動作の主体となる「人・生き物」です。

人や生き物が動作の主体となる場合は、述語を「~する」と言い切る表現で書きます。

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主語にあわせて、受動態と能動態を使い分けましょう。

主語を省略しないこと

係り受けのねじれを防ぐためには、主語を省略しない意識も大切です。

主語が省略された例文

「納品した記事にミスが多く、厳しく指摘をされました」

上記の文章は主語が省略されており、読者次第で以下2つの解釈に分かれてしまいます。

  1. 私が指摘をされた
  2. クライアントが指摘をされた(敬語表現)
修正例

「私」が主語の場合

「納品した記事にミスが多く、私は厳しく指摘をされました」

「クライアント」が主語の場合

「私が納品した記事にミスが多く、クライアントは厳しく指摘をしました」

「~する」「~される」の表現は、敬語や受動態・能動態といった使い分けが複雑です。

読者によって解釈が変わってしまわないように、主語を省略せずに正確な情報を伝えましょう。

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【練習問題】係り受けの正しい使い方を学ぶ

ここからは、係り受けの正しい使い方を学ぶための「練習問題」を用意しました。

各問題の選択肢をタップ(クリック)すると回答が表示されます!

1.主語と述語のみで成立させる

次のうち、主語と述語のみで「成立しない」文章はどれですか?
  • A. 私は美味しいリンゴを食べました。
  • B. 彼は新しい本を買うため、本屋に行きました。
  • C. 生徒は学力を上げるため、先生が宿題を出しました。
  • D. パソコンは寿命があるので、5年を目途に買い替えが必要です。

2.修飾語と被修飾語を近づける

次のうち、修飾語と被修飾語の位置が適切な文章はどれですか?
  • A. 高性能なスマホと連携できるパソコン
  • B. ついに解決策がわかり、長年の悩みに終止符が打たれる
  • C. 大きな自動車を3台格納できる車庫
  • D. 静かな山のふもとにある美しい村

3.一文を短くまとめる

次の文章を短くまとめてください
  • 昨日、彼は新しい本を買いましたが、その本がとても面白かったので、友人におすすめしたところ、あまり好みのジャンルではなかったようで、期待していた反応は得られませんでした。
現在の文字数: 0

4.受動態と能動態を使い分ける

次のうち、受動態と能動態の使い分けが不適切な文章はどれですか?
  • A. 彼が出品した不用品は、1,500円で購入されました。
  • B. 心配性な私は、できる限りの準備をします。
  • C. 彼女が悩んでいた問題は、メンターの提案で解決された。
  • D. 私の画期的な提案は、同僚が「採用すべきだ」と褒めています。

5.主語を省略しない

次のうち、主語を省略していない文章はどれですか?
  • A. ジャイアンがリサイタルをするらしく、のび太は家を出たくないらしい。
  • B. のび太が困っていたので、タケコプターを出してあげた。
  • C. ドラえもんのどこでもドアがあれば解決できる。
  • D. しずかちゃんに怒られて、もう人生が終わった気分だ。

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係り受けのねじれを防ぐなら「わかりやすい文章」を心がけよう!

係り受けとは、言葉と言葉のつながりを示す概念です。

主語と述語、修飾語と被修飾語のつながりにズレがあると、係り受けのねじれによる違和感を与えてしまいます。

係り受けのねじれを防ぐ方法には、今回紹介した5つのポイントを実践してみましょう。

いずれのポイントにも共通して、文章の意図をわかりやすく伝える意識が大切です。

一文を短くまとめる意識は、書き手の負担を減らす効果も期待できます。

今回解説したポイントを理解しながら、わかりやすい文章を書くスキルも身につけてみましょう。

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