「執筆した文章の意図が正しく伝わらない…」と悩んだことはありませんか?
読者に伝わる「わかりやすい文書」を書くためには、係り受けの理解が欠かせません。
文章が不自然になったり読者に誤解を与えたりするのは、係り受けの「ねじれ」がおもな要因です。
そこで今回は「係り受けのねじれを防ぐポイント」をテーマに、基本的な定義から具体例まで詳しく解説します。
記事の後半には練習問題も用意しました。ぜひ参考にしてみてください。
執筆者プロフィール
- Webライター(4年)
- Webディレクター(1年)
- 元システムエンジニア(9年)
未経験からフリーランスのWebライターに転身。
保有資格:SEO検定1級・FP3級
2つのブログを運営しています。
言葉のつながりを示す「係り受け」
係り受けとは、言葉と言葉のつながりを示す概念です。
たとえば「私は新しい記事を執筆した」という文章は、以下のように言葉をつなげて成り立っています。
私 は 新しい 記事 を 執筆した。
しかし、言葉のつなげ方や順序を間違えてしまうと、文章の意味が伝わりにくい「ねじれ」が発生します。
係り受けの正しい使い方を理解するには、以下2つの観点が重要です。
主語と述語のねじれ
文章の主語と述語が正しく対応していない状態では、係り受けの「ねじれ」が発生します。
主語と述語の関係性が不自然な文章は、読者に違和感を与えてしまいます。
「新しい記事は私が執筆した」
- 主語:新しい記事
- 述語:執筆した
「私は新しい記事を執筆した」
- 主語:私
- 述語:執筆した
上記の正しい例文では、主語である「私」と述語「執筆した」を違和感なくつなげられます。
しかし、ねじれた例文では、主語「新しい記事」に対して「執筆した」という不自然な述語がつながります。
修飾語と被修飾語のねじれ
係り受けのねじれには、修飾語と被修飾語の関係性も考慮する必要があります。
「私が3日前に書いた記事を更新した」
- 修飾語:3日前に
- 被修飾語:「書いた」または「更新した」
上記のねじれた例文では「3日前に」が修飾語です。
しかし、被修飾語の捉え方次第では、以下2パターンの解釈に分かれてしまいます。
- 私が「3日前に書いた記事」を更新した?
- 私が書いた記事を「3日前に更新」した?
文章の意図を正しく伝えるためには、修飾語を入れる位置の考慮が必要です。
具体的な方法は、以降の見出しで詳しく解説します。
係り受けのねじれを防ぐ5つのポイント
係り受けのねじれを防ぐ方法として、以下5つのポイントを理解しましょう。
主語と述語のみで成立させること
係り受けのねじれを防ぐには、主語と述語のみを抜き出しても成立する文章を意識すべきです。
「私は集中したいときにコーヒーを飲みます」
- 主語:私
- 述語:飲みます
「コーヒーは私が集中したいときに飲みます」
- 主語:コーヒー
- 述語:飲みます
上記のねじれた例文では、主語と述語を抜き出した文章が「コーヒーは飲みます」と不自然です。
人の動作である「飲む」に対して、主語は人である「私」が適しています。
主語と述語がねじれた文章を修正するには、以下の2パターンが基本です。
- 主語に述語をあわせる
- 述語に主語をあわせる
「コーヒーは私が集中したいときの必須アイテムです」
- 主語:コーヒー
- 述語:必須アイテムです
「私は集中したいときにコーヒーを飲みます」
- 主語:私
- 述語:飲みます
文章に違和感があるときには、主語と述語を取り出して「自然につながるかどうか」をチェックしましょう。
修飾語と被修飾語を近づけること
読者の認識違いを避けるためには、修飾語と被修飾語の配置を意識するのも大切です。
修飾語が「修飾している対象」を明確にしないと、読者が誤った解釈をしてしまう可能性があります。
「美しい海に広がるサンゴ礁」
- 修飾語:美しい
- 被修飾語:「海」または「サンゴ礁」
上記の例文では「美しい」の修飾する対象が不明確(あいまい)です。
とくに「美しいサンゴ礁」を意図する場合には、文章が適切ではありません。
修飾語の関係があいまいな文章を修正するには、修飾語を被修飾語の直前に配置する必要があります。
「サンゴ礁が広がる美しい海」
- 修飾語:美しい
- 被修飾語:海
「海に広がる美しいサンゴ礁」
- 修飾語:美しい
- 被修飾語:サンゴ礁
修飾語と被修飾語を近づけることによって、文章の意図を正確に伝えられます。
一文を短くまとめること
意図した内容を読者に伝えるためには、一文を短くまとめるのが効果的です。
文章が長文化すると言葉の関係性が複雑になってしまい、書き手自身も伝える内容の整理に苦戦します。
「初心者のWebライターが、いきなり高単価の案件を受注するのは困難なので、まずは実績を積み重ねるためにも、低単価の案件も検討すると、ポートフォリオが充実するのでおすすめです。」
- 主語:初心者のWebライター
- 述語:ポートフォリオが充実するのでおすすめです
上記のような長文では、主語と述語の関係があいまいになってしまいます。
その原因は、一文に対して複数の情報を詰め込んでいるからです。
文章から伝わる情報量が増えてしまうと、読者は内容の理解に負担を感じてしまいます。
「初心者のWebライターが、いきなり高単価の案件を受注するのは困難です。まずは実績を積み重ねるためにも、低単価の案件も検討しましょう。ポートフォリオが充実するのでおすすめです。」
上記のように「一文一意」を意識すると、句点「。」の区切りごとに文章が短くまとまります。
一文の情報量が減るため、伝えたい内容を的確に伝えられます。
受動態と能動態を使い分けること
主語と述語のねじれが発生する要因には、受動態と能動態の混在も挙げられます。
受動態と能動態には、以下のような違いがあります。
受動態の文章は、主語が動作の影響を受ける場合に用いられます。
また、以下の例文のように、主語が「モノ・コト」となる場合は基本的に受動態です。
「私が書いた小説は、コンテストの優秀作品に選ばれた」
「新しいソフトウェアは、来週リリースされます」
受動態の主語となる「モノ・コト」は、それ自体が動作を起こすことはありません。
主語が動作を起こす能動態と混雑しないように注意しましょう。
「コンテストに応募するため、私は小説を書いた」
「私は、来週リリースする新しいソフトウェアを開発した」
一方で能動態の主語は、動作の主体となる「人・生き物」です。
人や生き物が動作の主体となる場合は、述語を「~する」と言い切る表現で書きます。
主語にあわせて、受動態と能動態を使い分けましょう。
主語を省略しないこと
係り受けのねじれを防ぐためには、主語を省略しない意識も大切です。
「納品した記事にミスが多く、厳しく指摘をされました」
上記の文章は主語が省略されており、読者次第で以下2つの解釈に分かれてしまいます。
- 私が指摘をされた
- クライアントが指摘をされた(敬語表現)
「私」が主語の場合
「納品した記事にミスが多く、私は厳しく指摘をされました」
「クライアント」が主語の場合
「私が納品した記事にミスが多く、クライアントは厳しく指摘をしました」
「~する」「~される」の表現は、敬語や受動態・能動態といった使い分けが複雑です。
読者によって解釈が変わってしまわないように、主語を省略せずに正確な情報を伝えましょう。
【練習問題】係り受けの正しい使い方を学ぶ
ここからは、係り受けの正しい使い方を学ぶための「練習問題」を用意しました。
各問題の選択肢をタップ(クリック)すると回答が表示されます!
1.主語と述語のみで成立させる
- A. 私は美味しいリンゴを食べました。
- B. 彼は新しい本を買うため、本屋に行きました。
- C. 生徒は学力を上げるため、先生が宿題を出しました。
- D. パソコンは寿命があるので、5年を目途に買い替えが必要です。
2.修飾語と被修飾語を近づける
- A. 高性能なスマホと連携できるパソコン
- B. ついに解決策がわかり、長年の悩みに終止符が打たれる
- C. 大きな自動車を3台格納できる車庫
- D. 静かな山のふもとにある美しい村
3.一文を短くまとめる
- 昨日、彼は新しい本を買いましたが、その本がとても面白かったので、友人におすすめしたところ、あまり好みのジャンルではなかったようで、期待していた反応は得られませんでした。
4.受動態と能動態を使い分ける
- A. 彼が出品した不用品は、1,500円で購入されました。
- B. 心配性な私は、できる限りの準備をします。
- C. 彼女が悩んでいた問題は、メンターの提案で解決された。
- D. 私の画期的な提案は、同僚が「採用すべきだ」と褒めています。
5.主語を省略しない
- A. ジャイアンがリサイタルをするらしく、のび太は家を出たくないらしい。
- B. のび太が困っていたので、タケコプターを出してあげた。
- C. ドラえもんのどこでもドアがあれば解決できる。
- D. しずかちゃんに怒られて、もう人生が終わった気分だ。
係り受けのねじれを防ぐなら「わかりやすい文章」を心がけよう!
係り受けとは、言葉と言葉のつながりを示す概念です。
主語と述語、修飾語と被修飾語のつながりにズレがあると、係り受けのねじれによる違和感を与えてしまいます。
係り受けのねじれを防ぐ方法には、今回紹介した5つのポイントを実践してみましょう。
いずれのポイントにも共通して、文章の意図をわかりやすく伝える意識が大切です。
一文を短くまとめる意識は、書き手の負担を減らす効果も期待できます。
今回解説したポイントを理解しながら、わかりやすい文章を書くスキルも身につけてみましょう。
コメント