助詞「てにをは」の使い方|用途別の使い分けを例文解説

今回のテーマは、助詞「てにをは」の使い方です。

「てにをは」は、文章執筆で使用頻度が高い助詞の総称です。

助詞の使い方に難しさを感じてしまうときは、具体的な例文から役割や意味を学んでみましょう。

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taku(伊藤 拓也)

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目次

「てにをは」の重要性

単語をつなぐ助詞「てにをは」は、文章全体の意味や印象に大きく影響を与えます。

たった1文字の助詞で、まったく別の文章に変わってしまうほどです。

怒られた。

怒られた。

上記の例文は、それぞれ怒られた「対象」が異なります。

文章の意味を正確に伝えるためには「てにをは」をはじめとする助詞の使い分けが重要です。

使い方を間違えると意味が変わってしまう

助詞の使い方を間違えてしまうと、文章の意味がガラリと変わってしまいます。

下記の例文は、ともに「ライティングスキルを教わる」が主題です。

ライティングのスキルをAI教わる。

ライティングのスキルをAI教わる。

前者のように「AIに」と表現すると、AIから教わっているニュアンスが伝わります。

一方で、後者のように「AIで」と表現すると、AIを使って教わっているニュアンスに変わります。

文章の違いは、たったの一文字です。

しかし、文章から伝わるニュアンスは、まったく異なります。

「てにをは」の使い方と例文

「てにをは」をはじめとする助詞の使い方を、以下の用途別に解説します。

それぞれの見出しで例文を紹介するので、実際の使い分けをイメージしながら参考にしてみてください。

主語を示す「は」「が」

助詞「は」と「が」は、おもに主語を示す用途に使われます。

カレーは美味しい。

カレーが美味しい。

上記の例文は、どちらも「カレーの美味しさ」を伝えています。

使い分けとしては、以下のような観点です。

「は」と「が」の使い分け

「は」:客観的な事実を伝える

「が」:主語を強調して伝える

「は」を用いた文章は、客観的に「美味しい」という事実を伝えています。

一方で「が」を用いた文章は、複数あるメニューから「カレー」を強調しているようなニュアンスです。

太郎くんは謝罪しました。

太郎くんが謝罪しました。

上記の例文を比較すると「は」を使った文章は、謝罪した事実を客観的に伝えています。

「が」を使った文章は、謝罪した「太郎くん」を強調しているのが伝わります。

「が」を使うときの注意点

太郎くんが謝罪するときにアドバイスをしてくれた。

上記の例文のように「が」を用いた文章は、主体があいまいになってしまいます。

  • 太郎くんが「謝罪する誰か」にアドバイスをしてくれた?
  • 太郎くんが謝罪するときに「誰か」がアドバイスをしてくれた?

客観的な事実を正確に伝える場合は、以下のように修正するのがポイントです。

助詞を「は」に置き換える

太郎くんは謝罪するときにアドバイスをしてくれた。

主体を明記する

太郎くんが謝罪するときに、先輩がアドバイスをしてくれた。

行き先を示す「に」「へ」「まで」

助詞「に」「へ」「まで」は、おもに行き先を示す助詞です。

チェックポイントに向かう。

チェックポイントへ向かう。

チェックポイントまで向かう。

上記の例文は、いずれも行き先となる「チェックポイント」を目指している様子が伝わります。

しかし、助詞が異なることで、それぞれのニュアンスが変化しています。

「に」「へ」「まで」の使い分け

「に」:目的地(ゴール)に焦点を当てている

「へ」:これから向かう様子に焦点を当てている

「まで」:移動の過程(途中経過)に焦点を当てている

「に」を使った例文では「チェックポイント」という目的地に焦点を当てています。

目的地に到達した状態をイメージさせたい場合に効果的です。

一方で「へ」を使った例文は、目的地に向かっている(まだ到達していない)様子が伝わります。

また「まで」を使った例文は、チェックポイントを「途中経過」としているのが特徴です。

オフ会に参加するため、東京の会場へ向かっています。現在、品川駅まで到着しました。

ここまで解説した内容を、上記の例文にまとめてみました。

「に」「へ」「まで」を、以下のように使い分けています。

  • 「に」:「オフ会に参加する」の目的(ゴール)を表している
  • 「へ」:これから「東京の会場へ向かう」という様子を表している
  • 「まで」:「品川駅まで到着」の途中経過を表している

場所を示す「に」「で」

助詞「に」「で」は、おもに場所を示す用途に使われます。

水族館にペンギンがいた。

水族館でペンギンを見た。

場所を示す「に」「で」の使い分けは、とくに難しさを感じる要素です。

人によって解釈が異なる傾向にありますが、個人的には以下のような観点で使い分けています。

「に」「で」の使い分け

「に」:人や物が「存在する場所」を示す

「で」:人や物が「動作する場所」を示す

例文で言うと「いた」のか「見た」のか、状態または動作で助詞を使い分けています。

具体例として、さらに以下の例文を挙げてみます。

図書館に探していた本があった。

図書館で探していた本を見つけた。

図書館に本が「あった」と存在を示す場合は「に」を。

本を「見つけた」と動作を示す場合は「で」を使用しています。

「で」を使うときの注意点

図書館で探していた本があった。

上記の例文では、先述した使い分けに従うなら「図書館に」とすべきです。

しかし、文章自体は違和感なく読めてしまいます。

その理由は、助詞「で」の使い方に誤りがあるのではなく、場所を示す単語が不足しているからです。

図書館で探していた本が近所の書店にあった。

「図書館で探していた本」を主語とするなら、どこに「あった」のかを明記する必要があります。

違和感なく読める文章でも、情報を漏れなく伝える意識が大切です。

意思や対象を示す「が」「を」

助詞「が」「を」は、意思や対象を示す用途に用いられます。

カレーが食べたい。

カレーを食べる。

上記の例文「カレーが食べたい」では「〜したい」という意志や願望を表現しています。

一方で「カレーを食べる」の例文は「食べる」という動作の対象を伝えています。

カレーを食べたいと思う。

上記も「意志や願望」を表現する例文です。

しかし、助詞「を」を使用しています。

例文には「~と思う」という表現があるため、動作の対象として「カレーを」と書くのが一般的です。

文章が形容詞(したい、ほしい)で終わる場合は「が」。動詞(する、できる)で終わる場合は「を」と判断するのが効果的です。

修飾語で使い分ける「が」「の」

助詞「が」「の」には、互いに置き換えられる特徴があります。

父が書いた物語。

父の書いた物語。

上記の例文は、どちらも文法上の誤りがなく、違和感なく読めます。

では、どのように使い分けるかというと、修飾する語句によって判断します。

「が」は「書いた」に修飾する

父が書いた物語(を読む)。

「の」は「物語」に修飾する

父の書いた物語(が好き)。

例文では省略しましたが、修飾する語句によって後続する文章の流れが異なります。

厳密に言えば、例文の「が」と「の」を入れ替えても誤りではありません。

しかし、後続する文章次第では、読みづらさ(違和感)の原因となる場合があります。

同じ助詞の連続は避ける

父が書いた物語が好き。

上記の例文は、助詞「が」が連続しています。

文法上の誤りはありませんが、助詞の連続は文章に稚拙ちせつな印象を与えてしまう要因です。

父の書いた物語が好き。

助詞が連続する書き方は、どちらかといえば「話し言葉」に近い表現です。

文章執筆には「書き言葉」が適しているため、助詞の連続はできる限り避けましょう。

「てにをは」を間違えないためのコツ

「てにをは」の使い方を間違えないためには、以下のコツを意識するのが大切です。

役割が同じ助詞を理解する

先述の「てにをは」の使い方と例文で解説したように、助詞は役割が同じ(似ている)かどうかで分類できます。

助詞の役割を理解すると、違和感のある文章を修正するコツがつかめます。

参考例)「は」「が」の場合

私は変顔をすると、妹はとても嫌そうな顔をする。

上記の例文は、文章内に助詞「は」を2回使用しているため違和感があります。

「私は変顔をする」と「妹は嫌そうな顔をする」の複合文となっているのが要因です。

そこで、以下のように、用途が同じ助詞「が」に変換してみます。

私が変顔をすると、妹はとても嫌そうな顔をする。

助詞「は」を「が」に変えたことで、文章の違和感がなくなりました。

参考例)「が」「の」の場合

私が書いた作品が選ばれた。

上記の例文は、文章内に助詞「が」が連続しているため稚拙ちせつな印象を与えています。

そこで、以下のように、用途が同じ助詞「の」に変換してみます。

私の書いた作品が選ばれた。

助詞「が」を「の」に変えると、文章の読みやすさを改善できました。

上記2パターンの参考例のように、同じ助詞の連続は執筆案件の「よくある指摘」です。

指摘を修正する際に「役割が異なる助詞」を選んでしまうと、文章の違和感につながってしまいます。

だからこそ、助詞の役割を理解しておくことが重要です。

書いた文章を音読する

助詞の誤りに気づくためには、執筆後の文章を音読するのが効果的です。

文章を目で追うだけでは、細かなミスや違和感を見逃してしまいます。

とくに助詞のような「たった1文字」の言葉づかいほど、文章を声に出して読むべきです。

また、音読することで、文章全体のリズムや流れを確認できます。

執筆者自身が感じる読みづらさは、読者に与えるストレスや不信感の要因です。

文章の質を高めるためにも、音読で細かな違和感をチェックしましょう。

チェックツールを活用する

助詞の使い方が適切かどうかは、以下の方法でもチェックできます。

チェックツールを活用する

どちらも執筆した文章をコピペするだけで手軽にチェックできる便利なツールです。

とはいえ、ミスを漏れなく網羅できる完璧なツールではありません。

あくまでも見落としを防ぐための「サポートツール」として、効果的に活用しましょう。

まとめ|わかりやすく伝えるには「てにをは」も重要

今回は助詞「てにをは」の使い方をテーマに、以下のコンテンツを解説しました。

「てにをは」は日本語の基本的な助詞であり、文章の意味を正確に伝えるための重要な要素です。

助詞の使い方を間違えないためには、それぞれの役割を理解する必要があります。

助詞を正しく使いこなしながら、わかりやすい文章の執筆に役立てましょう。

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