
文章の表記チェックで細かなミスを見落としちゃう…
Webライターにとって、記事執筆後の「表記チェック」は必要不可欠です。
- 表記ゆれがないか
- 誤字脱字がないか
- 執筆ルールに沿っているか
執筆した文章をしっかりと確認したつもりでも、納品後に思わぬ指摘を受けることも少なくありません。



ちゃんとチェックした”つもり”でも、意外に見落としてしまいます。
そこで、Wordのマクロ機能を活用した「表記チェック処理」を作ってみました。
今回は処理の概要や使い方を紹介します。
Wordがあれば無料で使えるので、ぜひ参考にしてみてください。
- 表記チェック処理の全体的な流れ
- 処理の実装・実行方法
- ちょっとしたカスタマイズ手順
表記ミスのチェック処理を作成してみた


Webライターの執筆作業は、クライアントが用意する「表記ルール」に従います。
今回作成した処理は、この「表記ルールに沿っているかどうか」をチェックするためのものです。
使用する表記 | 使用しない表記 |
---|---|
できる | 出来る |
おすすめ | お勧め オススメ |
123 | 123 |
!?() | !?() |
上記は表記ルールの一例です。
クライアントが用意するマニュアルには、細かなルールがビッシリと用意されています。



「数字は半角、記号は全角」とか。
数千文字の記事を執筆するたびに、このようなルールをチェックするのは大変です。
執筆後の疲れた状態で目視確認すれば、多少の見落としが発生しても仕方ありません。
表記チェック処理の全体的な流れ


本題の前に、作成したチェック処理の全体的な流れを解説します。
- Wordでマクロを設定・登録
- 抽出ワードリストを作成
- 文章をWordにコピペしてマクロを実行
- マーカーで抽出された箇所を確認
まずはテキストファイルに「使用したくない表記」のリストを作成します。
そのリストをWordのマクロで読み込んで「文章の該当する文字列にマーカーを引く」といった処理です。
詳細な手順は、以降の見出しで解説します。
表記チェック処理①|事前準備
まずは事前準備として、以下の設定を実施します。
- Wordのマクロ機能を有効化する
- マクロ処理を登録する
- 抽出したい文字列をリスト化する
(テキストファイル)
1.Wordのマクロ機能を有効化する


Wordのマクロ機能は、デフォルトで無効化されています。
以下の手順で有効化しましょう。
- ヘッダーメニューの「ファイル」タブを選択する
- 画面左側の項目「オプション」を選択する
- Wordのオプション画面で「リボンのユーザー設定」を選択する
- メインタブの「開発」にチェックを入れる
- ヘッダーメニューに「開発」タブが追加されたら完了
2.チェック用のマクロを登録する


- ヘッダーメニューの「開発」タブを選択する
- メニューから「マクロ」をクリックする
- マクロ画面が表示されるので、以下の手順を実施する
- 「マクロ名」に任意の名前を入力する
※名前は何でもOK! - 右側項目「作成」ボタンをクリックする
- 「マクロ名」に任意の名前を入力する
「マクロ編集画面」が表示されるので、以下のソースコードで上書きしましょう。
ソースコードはこちら
チェック処理のソースコード
Sub 特定の文字列を検索してマーカーを引く処理()
Dim dlgOpen As FileDialog
Dim fileNo As Integer
Dim buf As String
Dim myColor As String
'テキストファイルを開く
Set dlgOpen = Application.FileDialog(msoFileDialogOpen)
With dlgOpen
.AllowMultiSelect = False
If .Show = False Then Exit Sub
fileNo = FreeFile
Open .SelectedItems(1) For Input As #fileNo
End With
Do Until EOF(fileNo)
Input #fileNo, buf
'現在のマーカー色を保存
myColor = Options.DefaultHighlightColorIndex
'マーカー色を黄色に設定
Options.DefaultHighlightColorIndex = wdYellow
'メイン処理
'テキストファイルを1行目から検索・該当箇所にマーカーを引く
With Selection.Find
.ClearFormatting '検索条件から書式を削除
.Replacement.ClearFormatting '置換箇所の書式を削除
.Text = buf 'テキストの文字を保管
.Replacement.Text = buf '保管した文字で置換する
.Replacement.Highlight = True 'マーカーを引く
'カスタマイズする場合はコメントアウトを外す
'.Replacement.Font.Bold = True '太字に変更する
'.Replacement.Font.Size = 15 '文字サイズを変更する
.Forward = True '前方向に検索(先頭→末尾へ順方向)
.Wrap = wdFindStop '末尾に到達したら検索終了
.Format = True '書式設定を有効化
.MatchCase = True '大文字と小文字を区別する
.MatchWholeWord = True '完全一致する単語だけ検索する
.MatchByte = True '全角と半角を区別する
.MatchAllWordForms = False '英単語の異なる活用形を検索しない
.MatchSoundsLike = False 'あいまい検索(英)を無効化
.MatchFuzzy = False 'あいまい検索(日)を無効化
.MatchWildcards = False 'ワイルドカードを使用しない
.Execute Replace:=wdReplaceAll '置換処理(全置換)を実行する
End With
Loop
Close #fileNo
'処理完了後にマーカー色を元に戻す
Options.DefaultHighlightColorIndex = myColor
End Sub


ソースコードを上書きしたら、ヘッダーメニューの「上書き保存」ボタンを実行します。



フロッピーディスクのマークをクリックしましょう。
3.抽出したい文字列をリスト化する


- 抽出したい文字列をテキストファイルに入力する
- 任意のフォルダに保存する
- 1行につき「1つの文字列」を入力します
- リストの文字は「完全一致」で抽出します
- ファイル名は「何でもOK」です



たとえば「1,2,3」と同じ行に入力した場合は
「1,2,3」に完全一致する文字列を抽出します。
表記チェック処理②|マクロ実行
事前準備が完了したら、登録したマクロ処理を実行します。
- チェックする文章をWordにコピペする
- 登録したマクロを実行する
- 該当箇所が黄色マーカーで抽出される
1.チェックする文章をWordにコピペする


- チェックしたい文章(原稿)を全コピー(Ctrl + A)する
- コピーした文章をWordに貼りつける
※「右クリック→テキストのみ保持」を推奨
マクロ処理は「カーソル位置」から実行されます。
コピペが完了したら、カーソルを文章の先頭に移動(Ctrl + Home)してください。
文章を貼り付けるときは、貼り付けのオプション(右クリック→テキストのみ保持)を推奨します。
※書式を含めてコピペすると、処理後にチェックしづらくなるため。
2.登録したマクロを実行する


- ヘッダーメニューの「開発」タブを選択する
- メニューから「マクロ」をクリックする
- 登録したマクロを選択する
- 右側項目「実行」ボタンをクリックする
- ファイル選択ダイアログが表示される
- 抽出文字列を入力したテキストファイルを選択する
3.該当箇所が黄色マーカーで抽出される


チェック処理を実行すると、リストに該当する文字列に黄色マーカーが引かれます。
マーカー個所を確認しながら、必要に応じて「原本」の文章を修正しましょう。



Wordファイル自体は、あくまでも「確認用」なので編集不要です。
チェック処理を再実行したい場合は、Wordにコピーした文章を一旦削除して「1.チェックしたい文章をWordにコピペする」の手順に戻ります。
Wordマクロをカスタマイズする


今回紹介したチェック処理は「黄色マーカーを引く」ことで文字列を抽出しました。
しかし、黄色マーカーのみでは「1文字だけ」該当する箇所を見落してしまう可能性があります。
そこで、以下のカスタマイズも参考にしてみてください。
- 抽出した文字を太字にする
- 抽出した文字のサイズを変更する
- マーカーの色を変更する
抽出した文字を太字にする


以下のソースコードを追加することで、抽出した文字列を太字に変換できます。
抽出した文字のサイズを変更する


以下のソースコードを追加することで、抽出した文字列のサイズを変更できます。



数値を変更すれば、初期値(15)より大きなサイズに変換できます。
マーカーの色を変更する


以下のソースコードを編集することで、任意のマーカー色に変更できます。
以下の表を参考に、ソースコードの「wdYellow」を変更しましょう。
色 | コード |
---|---|
黄色 | wdYellow |
明るい緑 | wdBrightGreen |
水色 | wdTurquoise |
ピンク | wdPink |
赤色 | wdRed |
25%灰色 | wdGray25 |
50%灰色 | wdGray50 |
選択中の色 | wdNoHighlight |
目視確認はほどほどに|ツール化すると作業が楽になる


今回はWordのマクロ機能を活用した「表記ミスをチェックする処理」を紹介しました。
紹介した処理は、目視では手間のかかる表記ルールのチェックで利用すると便利です。
ただし、簡易的に作成した処理なので、かゆい所に手が届くほど万能ではありません。
原稿執筆後に確認漏れを防ぐための「最終チェック」に活用してみてください。
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