「景品表示法」に気をつけてと言われたけど…何を意識すればいいの?
広告として商品・サービスを紹介するWeb記事では「景品表示法」の順守が欠かせません。
Webライター自身も制度を理解したうえで記事を執筆する必要があります。
しかし、具体的に「何を守ればいいの?」と疑問に思ってしまいますよね。
そこで今回は、景品表示法について『Webライターが理解・注意すべきこと』を解説します。
執筆者プロフィール
- Webライター(4年)
- Webディレクター(1年)
- 元システムエンジニア(9年)
未経験からフリーランスのWebライターに転身。
保有資格:SEO検定1級・FP3級
2つのブログを運営しています。
景品表示法の目的
景品表示法とは、消費者の利益保護を目的として作られた法律です。
消費者が安心して商品やサービスを購入するため、内容・品質・価格などの虚偽の表示を取り締まります。
もし、過大な広告に消費者が誤解してしまうと、購入後に大きなギャップを感じてしまいます。
企業と消費者の公平な取引を保つには、商品やサービスの広告を正しい情報で表示することが重要です。
景品表示法で禁止されていること
景品表示法には、2つの禁止事項が定められています。
- 不当表示の禁止
- 商品を実際より優れているかのように偽る表示
- 景品類の制限及び禁止
- 消費者の購入判断における合理性に欠ける情報操作
不当表示の禁止
不当表示とは、虚偽や誇大な広告のように「消費者をだます表示」を指します。
消費者にとって価格や品質は、購入するかどうかを決める重要な判断材料です。
消費者の購入判断を過剰に煽るのではなく、商品の情報を健全かつ公正に伝える必要があります。
また、不当表示は、以下の3種類に分けられます。
- 優良誤認表示
- 有利誤認表示
- その他誤認されるおそれのある表示
商品やサービスが、実際よりも「良い」または「お得である」と誤認させるような広告を禁止しています。
意図的であるか偶然であるかにかかわらず、違反した場合には法律に基づいた措置がとられます。
それぞれの不当表示については、以降の見出しで詳しく解説します。
景品類の制限及び禁止
「景品類の制限及び禁止」では、商品やサービスに過大な景品や特典を設ける行為を禁止しています。
規制のおもな目的は、景品や特典に誘われた消費者の不利益な購入を防ぐことです。
たとえば、以下のような行為が該当します。
- 数十万円の豪華景品をエサに「質の悪いモノ・割高なモノ」を購入させる
- 景品提供に「高額商品の購入」「他者の紹介」などの過度な条件を要求する
- 極端に価値が高いような「競合他社との公平性に欠ける景品」を提供する
商品やサービスは、消費者が公平な条件・情報に基づいて選択されるべきです。
違反行為をした事業者には、法律に基づいて警告や罰金などの措置がとられる可能性もあります。
Webライターは不当表示を理解すべき
Webライターが理解すべきポイントは、3つの不当表示です。
とくに数字にかかわる情報を記載するときには、思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあるため注意しましょう。
優良誤認表示
商品の内容や品質が、他社より“著しく”優れているかのように消費者を誤解させる表示。
「著しく優れている」の判断基準は、社会的に許容されている範囲を超えているかどうかです。
具体的には、商品が優れている理由について「合理的な根拠」を提示できないと優良誤認表示とみなされます。
品質 | 商品の原材料・純度・添加物・効能・鮮度・栄養価など |
---|---|
規格 | 国や地方公共団体、公的機関が定めた規格・等級・基準など |
その他の内容 | 商品に対して間接的に影響を与えるもの(原産地・有効期限・製造方法など) |
たとえば、国産ではない牛を「国産有名ブランド牛」と誤認するように表示した場合は、情報の正しさを合理的な根拠で説明できないといけません。
また、優良誤認表示に該当するかどうかは、以下のような表示の特性から総合的に判断されます。
- 商品の性質
- 一般消費者の知見レベル
- 取引の状況
- 表示の仕方
裏付けが取れていない効果・効能であるにもかかわらず、あたかも商品による影響であるかのように偽る表示は優良誤認表示とみなされます。
客観的な裏付けがない表示は、消費者が誤った期待を抱いてしまう要因です。また、商品やサービスの購入後、クレームに発展する可能性もあります。
たとえば「摂取するだけで痩せられるダイエット食品」は、優良誤認表示のよくある例です。
Webライターの身近な例を挙げるとすれば、根拠がないのに「人生が好転する」と銘打った高額なセミナーやコンサルティングも該当しますよ。
有利誤認表示
商品の価格や成果が、実際よりも“著しく”有利であるように見せかける表示。
商品の優れている部分だけを強調し、欠点やリスクについて言及しない表示は禁止されています。
著しく有利に見せる広告表示により、消費者が欺かれないように取り締まるのが目的です。
脱毛サロンの公式サイトで「条件を満たせば割引価格で購入可能」とキャンペーンを告知。
実際には、キャンペーン終了後も割引価格を継続していたため、処置命令が下された。
他社サービスと公平ではない条件で比較し、あたかも自社の商品が安いと紹介するのも禁止されています。
その他誤認されるおそれがある表示
優良誤認表示・有利誤認表示以外にも、6つの告示が定められています。
- 無果汁の清涼飲料等についての表示
- 商品の原産国に関する不当な表示
- 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
- 不動産のおとり広告に関する表示
- おとり広告に関する表示
- 有料老人ホームに関する不当な表示
消費者がとくに誤認しやすい表示を、6つの要素で指定しています。
たとえば、以下のような例が該当します。
- 無果汁なのに「オレンジジュース」と表示する
- 原産国以外の国名や国旗などを表示する
- 購買意欲を煽るために「品薄」「品切れ」を表示する
執筆業務で注意すべきポイント
景品表示法を守るため、Webライターが執筆業務で注意すべきポイントを5つ紹介します。
Webライターが商品やサービスを解説する場合には、読者が「広告であると認識できる記載」が必要です。
宣伝であることを伝えずに商品をアピールするのは「ステルスマーケティング」として規制されています。
「プロモーション」や「PR」といった文言を入れると、景品表示法に違反するリスクを軽減できますよ。
最新の情報を伝えよう
商品やサービスの情報を記載する場合は、現在も継続(実施)しているかどうかのチェックが必要です。
すでに終了したキャンペーンやイベントなど、古い情報は消費者の誤解を招く告知につながります。
また、消費者が求めるニーズは常に変化するため、コンテンツを最新の情報にアップデートするのも重要です。
商品やサービスの正しい情報を記載するためにも、公式サイトの最新情報をリサーチしましょう。
公式の情報を伝えよう
商品やサービスに対する個人の見解や感想を、正しい意見のように紹介すべきではありません。
使い方や使用感には個人差があり、必ずしも正解であるとは限らないからです。
とある商品の「意外な使い方」を紹介している個人ブログを発見した。
参考にしようと調べてみると、実はメーカーが推奨していない使い方だった。
「たまたま使えたから大丈夫!」と個人の感想を紹介した結果、ほかの利用者が運悪くトラブルにあう可能性もあります。
商品やサービスをWeb記事で紹介する場合は、公式サイトの情報を参照するのが基本です。
個人の見解や感想は、あくまでも参考程度に留めておきましょう。
客観的事実を伝えよう
SNSやブログなど、個人メディアで紹介している「主観的事実」をそのまま紹介すべきではありません。
商品やサービスには相性があり、自分と同じような結果が誰にでも当てはまるとは限らないからです。
「○○の資格に1ヶ月の勉強で合格できた!みんなも1ヶ月で合格できます!」
「Webライター1ヶ月目で月収50万円達成した!みんなもできるよ!」
本来であれば、事前知識や学習環境に個人差があるはず。
「自分ができたから」の理由で断定するのは短絡的な考え方です。
個人的な意見や感想を記載するのであれば、アンケート調査や比較分析を実施すべきです。
X(旧ツイッター)やクラウドソーシングを活用すれば、幅広い意見をもとに客観的なデータを取得できます。
デメリットも漏らさず伝えよう
商品やサービスを紹介する場合には、デメリットも漏らさずに伝える必要があります。
購入後に短所や欠点を知ると、購入者の期待を裏切ってしまうからです。
たとえば、キャンペーンや割引には、一般的に「利用するための条件」が設定されています。
申込条件・対象者・期間などを、漏れなく伝えることが大切です。
デメリットを記載すると「購入してくれないのでは?」と不安になるかもしれません。
しかし、読者に安心感を与えるなら、メリット・デメリットを適切に解説すべきです。
人間の脳にはリスクを回避する心理効果が働くため、メリットばかりを並べても「本当に大丈夫かな?」と結果的に不安が強まってしまいます。
うっかりミスに気をつけよう
意図していないうっかりミスが、読者の誤解を招く可能性もあります。
とくに金額の記載ミスは、読者の信用を失うリスクもあるので注意が必要です。
- 税込と税抜の価格を間違えてしまう
- 金額の桁数を間違えてしまう(0の数)
- 時刻や年数を間違えてしまう
税抜・税込の価格が混在してしまうのは、Webライターのよくあるミスです。
数字の書き間違いは起こりやすいため、正しい情報をリサーチする・執筆後に見直しするといった意識が大切です。
景品表示法に違反するとどうなる?
景品表示法に違反すると、消費者庁が事業者に対して措置命令を出します。
措置命令の内容 | 事業者がやること |
---|---|
違反したことを 消費者に周知徹底する | Webサイトや新聞・メディアの広告媒体などを通じて、 消費者に違反の事実や是正に関する情報を周知徹底する |
再発防止策を講ずる | 違反が発生した原因を分析し、 コンプライアンス体制やルール・プロセスを改善する |
違反行為を 繰り返さないように徹底する | 再発防止策を一時的なものではなく、継続的に実施する |
措置命令の内容 | 事業者がやること |
---|---|
違反したことを消費者に周知徹底する | Webサイトや新聞・メディアの広告媒体などを通じて、消費者に違反の事実や是正に関する情報を周知徹底する |
再発防止策を講ずる | 違反が発生した原因を分析し、コンプライアンス体制やルール・プロセスを改善する |
違反行為を繰り返さないように徹底する | 再発防止策を一時的なものではなく、継続的に実施する |
事例)実際にあった措置命令
また、優良誤認・有利誤認の表示は、課徴金の対象行為に当たるため「課徴金納付命令」が通知されます。
不当な手段で利益を得る違反行為に対し、行政庁が徴収する金銭の一種。
違反行為にかかわる商品・サービスの売上額に3%を乗じた金額が徴収される。
課徴金納付命令が通知された場合は、期限内に納付するだけでなく、読者や取引先からの信頼を回復するための取り組みも欠かせません。
運営者の情報が見えにくいWebサイトだからこそ、透明性のある運営を心がける必要があります。
対応を求められるのは事業者ですが、Webライター自身が原因とならないように注意しましょう。
読者に事実を正確に伝えよう!
Webライターが景品表示法について理解すべきポイントは、優良誤認・有利誤認の不当表示です。
読者が誤認するような違反表示にかかわらないためにも「事実を正確に伝えること」を意識しましょう。
景品表示法は、基本的には事業者が意識すべき制度です。
しかし、Webライターも認識違いやうっかりミスで、想定外の誤認表示を記載してしまう可能性があります。
公式サイトの最新情報や客観的事実を重視しながら、誤解を招かない記事執筆を心がけよう!
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