【書評・感想】『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』

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SNSやブログでバズった人を見て「羨ましいな」と感じたことはありませんか?

「バズ」を生み出すインフルエンサーにあこがれて、注目を集める文章を必死に考えたことがあります。

taku

バスるために必要なのは…
共感を得ること?役に立つこと?炎上すること?

しかし、あれやこれやと悩み考えても、結論には至りませんでした。

おそらく文章の「内容」に気を取られていたからです。

バズる文章への近道は、好感を得られるような「書き方」を工夫することだとわかりました。

今回は「バズる文章の書き方」をテーマに、読者を楽しませる表現力のヒントが見つかる一冊を紹介します。

目次

最初に

今回は『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』という本を紹介します。

この本を手に取ったきっかけは「ブログやSNSでの発信力を高めたい」と思ったことです。

  • 自分の発信がたくさんの人に広まってほしい
  • 注目を集めて認知度を高めたい
  • ファンや顧客が増えるきっかけ(バズ)を生み出したい

本書は自らを「文芸オタク」と称する著者が、文章を楽しんでもらう工夫について紹介する一冊です。

作家をはじめとするさまざまな言葉のプロを研究し、発見したバズるためのヒントが詰まっています。

本書を読んでわかること
  • バズるために必要な文章の工夫
  • 49個の文章モデルからわかる法則
  • 文章を楽しんでもらうことの大切さ
著者のプロフィール
  • 三宅 香帆さん
  • 書評家・作家
  • 文章の書き方や小説の読み方を伝える講師としても活動
  • その他著書『それを読むたび思い出す』『人生を狂わす名著50』など

著者の三宅 香帆さんは、批評・エッセイ・インタビューなどの執筆業で活躍されています。

著者は、執筆したブログ記事が何度もバズったことから、以下のような結論にたどり着きます。

  • バズる要因は文章の内容ではない
  • 文章で楽しんでもらうことを優先する
  • 読者に好感をもってもらう工夫が大切

本書はバズるためのノウハウやテクニックを紹介するものではありません。

言葉選びのプロたちを分析しながら「文章を楽しんでもらう法則」をひも解く一冊です。

本書のポイントと要約

本書のポイントを整理すると、下記の内容につながるヒント(法則)がわかります。

  1. バズるつかみ
  2. バズる文体
  3. バズる組み立て
  4. バズる言葉選び

これらの内容は「本書のほんの一部」ではありますが、僕なりの観点でご紹介していきます。

バズるつかみ|読者を振り向かせる

文章のつかみ(書き出し)は、読者を振り向かせ「読んでみようかな」と心の準備を整えます。

以下は、本書で紹介している「バズるつかみ」の題材7選から、個人的に気になった一例です。

佐々木俊尚の身近力

読者と距離のある話題は、身近な例に置き換えて問いかける。

「日本とアメリカの文化の違い」を伝えたい。でも、読者にとって身近なテーマ(わかりやすいテーマ)ではない。

だから、身近な「映画」を例に挙げることで、読者との距離を縮めている。

そして、書き出しで「日本映画とアメリカ映画の違いってなんだろうか?」と問いかけることで、読者の興味を惹きつけている。

僕自身も自分の興味関心をテーマに、ブログ記事を書くことがあります。

読者に本文を読み進めてもらうためには、導入文(書き出し)での問いかけが効果的とのこと。

taku

今回の記事でも実際に使ってみました。

なじみの薄い話題であれば、身近な例に置き換えることで読者にポジティブな第一印象を与えます。

なじみの薄い話題は身近な例に置き換える
  • 最近は海洋ゴミの増加が問題視されて…
  • 最近、海のゴミが増えたと思いませんか?

バズる文体|読者の心を開く

文章の文体は、執筆者の表情を見せることで読者の心を開きます。

以下は、本書で紹介している「バズる文体」の題材16選から、個人的に気になった一例です。

向田邦子の柔和力

ひらがなで緩急をつけると、読み留めながら内容を咀嚼できる。

ひらがなには、漢字よりも「ゆっくり読ませる」効果がある。

そこで、漢字をあえて「ひらがな」にすることで、読者のリズムに緩急が生まれる。

読者のテンポを落とすことで、内容を咀嚼(そしゃく)する余裕ができる。

漢字をひらがなに「ひらく」ことは、Webライターやブロガーも取り入れるテクニックです。

しかし、漢字とひらがなの割合に明確な正解はありません。

taku

執筆者の「美的センス」にゆだねられています。

僕自身も常日頃から迷っていたのですが、以下に示す「著者の3つ提案」が参考になりました。

漢字をひらがなにする3つの提案
  1. アクセントをつけたい言葉
    例)様々なメリット→さまざまなメリット
  2. 漢字と連続する言葉
    例)子供向けの生物図鑑→子ども向けの生き物図鑑
  3. 手書きしたときに漢字では書かなそうな言葉
    例)鯲→どじょう

バズる組み立て|読者を楽しませる

感情を動かすような文章の組み立ては、読者を楽しませます。

以下は、本書で紹介している「バズる組み立て」の題材15選から、個人的に気になった一例です。

藤崎彩織(SEKAI NO OWARI)の旋律力

感情をスイッチすることで、文章に流れが生まれる。

感情が切り替わるタイミングには、強く印象に残る効果がある。

そこで、文章の組み立てにポジティブとネガティブのメリハリをつける。

感情を動かす構成は、物語が転換するように文章の流れをつくる。

Webライターやブロガーには、商品やサービスをレビューする機会が多々あります。

おすすめしたいからといって「褒めてばかり」の記事は、不思議と読者の心に響きません。

taku

抑揚がないというか…ずっと同じものを食べてる感覚。
(ラーメンをおかずにラーメンを食べる的な)

そのため、ポジティブとネガティブを切り替えて、文章の流れをつくることが大切です。

感情の動きが文章の流れを作る

近所に新しくできたラーメン屋にいってみたいな!

でも店主がコワモテで、店内に入るのがちょっと怖いな…

勇気を出して行ってみたら、意外に気さくな店主で味も文句なしだった!

文章の組み立ては、ポジティブな要素で終わるのが理想的です。

taku

記事を構成するときは「ポジティブな結末」から考えてみよう。

バズる言葉選び|読者に思い出してもらう

読者の記憶に残るような文章には、言葉選びの工夫がちりばめられています。

以下は、本書で紹介している「バズる言葉選び」の題材11選から、個人的に気になった一例です。

よしもとばななの意味深力

ふいに出る意味深な言葉は、読者の想像をふくらませる。

文章の途中に、説明もなくズレた一文を放り込む。

読者は「えっ、どういうこと?」と不思議に思う。

あえて流れを切るように入れた文章は「なんだったんだろう」と想像をふくらませる。

本筋と関係なさそうな一言で読者の想像をふくらませる表現は、おもに小説やエッセイで見られます。

しかし、Web記事で「ズレた一文」を表現するのは、性質的に難しさを感じてしまうでしょう。

そこで個人的な解釈ですが、内容を伝えるときに、雰囲気や肌感のような「主観」を加えることが効果的だと思いました。

参考)バカリズムさんのネタ「都道府県の持ち方」

「○○県は総人口○人、~の生産量が日本で…」と一般的な情報を紹介しながら、ふいに「…で、持ち方はこうですね」とズレた切り口で発言する。

ネタを見た人は「えっ、持ち方!?」とビックリする。そして、自然に「あの県だったら、どうやって持つかな?」と想像しちゃう。

本書を読んだ感想と気づき

本書を読み、文章を書く「技術」ばかりに気を取られ、楽しませる工夫を忘れていたことに気づきました。

そして、バズる文章に必要なことは、小手先のテクニックではなく「文章を楽しんでもらう工夫」だと学びました。

だから”バズらせる”というと、「テクニックを駆使して、一時的に大きな拡散を狙う」そんなイメージを持ってるんじゃないでしょうか。でも、この本は「そういうことをするのが苦手」な人のためにあります。

本書より引用

本書のタイトル『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』から、少し勘違いしてしまう印象もあったので補足します。

個人的には、文章力の「応用スキル」を学ぶうえで参考になる本だと感じました。

著名な執筆者の文章例から「ここがスゴイよね!」と、分析や解説をとおしてヒントが得られる本です。

そのため、実践するには「自分だったらどう活用する?」と置き換えて考える必要があります。

これから基礎力やテクニックを学びたい初心者には、少し難しさを感じる内容かもしれません。

著名な作家やブロガーが書く文章には、惹きつけられる「なにか」を感じます。

しかし、その理由をいまいち理解できず「自分となにが違うのかな」と考えることも。

だから「あの人には文才があるから」と考えて、無理やり納得していた気がします。

著者の三宅さんが分析し、言語化してくれたことで、理解できずにモヤモヤとしていた感情がスッキリしました。

まとめ|いますぐマネして実践してみたくなる一冊

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』を読んで、感じたことや気になったポイントなどをご紹介しました。

最後に、もう一度おさらいしてみます。

本書のまとめ
  1. バズるつかみ|読者を振り向かせる
  2. バズる文体|読者の心を開く
  3. バズる組み立て|読者を楽しませる
  4. バズる言葉選び|読者に思い出してもらう

本書は、さまざまな作家の文章に込められた「楽しく読んでもらう工夫」を紹介しています。

要点が読みやすくまとめられており、すぐにでも自分自身が執筆する文章で実践してみたくなる一冊です。

著者の分析と解説から「あの人が書く文章、なんか好きなんだよね」と感じていた理由がわかります。

taku

文芸オタクを自称するだけあり「この文章すごくない!?」と熱量の高さが楽しく伝わりました。

今回はすべてを紹介できませんでしたが、さまざまな書き手の「49個の文章モデル」を紹介しています。

もし興味を持っていただけましたら、ぜひお手に取ってご一読してみてください!

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