9種類の比喩表現|意味と使い方を例文で解説

今回のテーマは「9種類の比喩表現」です。

執筆した文章に「抑揚がない」「淡々としている」と指摘されてしまうことはありませんか?

文章の要点を強調したり感情を表現したりするには、比喩表現を効果的に活用するのがポイントです。

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taku(伊藤 拓也)

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目次

9種類の比喩表現|使い分けと例文

比喩表現は、文章や会話において物事をほかの対象にたとえる技法です。

効果的に活用することで、より具体的で感情豊かに文章を表現できます。

比喩表現の種類は、直喩・隠喩・換喩などさまざまです。

それぞれに異なる効果があり、小説はもちろん日常会話でも使い分けられていますよ。

比喩表現おもな使い方
直喩(ちょくゆ)物事をわかりやすくたとえる
隠喩(いんゆ)物事をほかの対象にたとえる
換喩(かんゆ)密接な関係にある別の対象にたとえる
転喩(てんゆ)先行する物事をもって後続する物事を示す
提喩(ていゆ)上位概念を下位概念で表現する
諷喩(ふうゆ)たとえだけを示して読者に推測させる
活喩(かつゆ)物事を生き物のように表現する
音喩(おんゆ)物事を擬音語や擬態語で表現する
奇想(きそう)関連性のないもの同士を結びつける
9種類の比喩表現
比喩表現おもな使い方
直喩(ちょくゆ)物事をわかりやすくたとえる
隠喩(いんゆ)物事をほかの対象にたとえる
換喩(かんゆ)密接な関係にある別の対象にたとえる
転喩(てんゆ)先行する物事をもって後続する物事を示す
提喩(ていゆ)上位概念を下位概念で表現する
諷喩(ふうゆ)たとえだけを示して読者に推測させる
活喩(かつゆ)物事を生き物のように表現する
音喩(おんゆ)物事を擬音語や擬態語で表現する
奇想(きそう)関連性のないもの同士を結びつける
9種類の比喩表現

直喩(ちょくゆ)

直喩は、物事をわかりやすく伝えるための比喩表現です。

「〜のような」「〜みたいな」などの言葉を用いて、読者や聞き手に具体的なイメージを伝えます。

文章や会話で誤解を招きにたくないときに活用します。

たとえば「彼女はの笑顔は太陽のようだ」も直喩を用いた文章です。

笑顔を太陽にたとえることで、あたたかさや明るさをシンプルに伝えています。

直喩を使った例文
  • 彼女の笑顔は太陽のように明るい。
  • 彼の話し方は水のようになめらかだ。
  • 子犬はぬいぐるみのようにかわいい。

隠喩(いんゆ)

隠喩は、物事をほかの対象にたとえる比喩表現です。

用途は直喩と似ていますが「〜のような」といった表現を使いません。

たとえば「彼はライオンだ」という表現では、勇敢さや力強さを直接的に強調しています。

隠喩には強く印象を与えられる特徴があり、抽象的な概念や複雑な感情の表現に適した技法です。

隠喩は言葉遊びや文学的な技巧としても重要な役割を果たしています。

隠喩を使った例文
  • 彼は会社の柱だ。
  • 彼女の言葉が心の扉を開くカギだ。
  • 人生はだ。

換喩(かんゆ)

換喩は、密接な関係にある別の対象を用いて表現する技法です。

たとえば、スポーツシーンでは、劇的な勝利を「栄冠に輝く」と表現します。

海外ニュースでは、アメリカ政府の発表を「ホワイトハウスは発表した」と表現することも。

換喩には、言葉の想像性を高めながら、文章をシンプルにまとめる効果もあります。

文化的な背景や社会的な文脈を「日常的な表現」に置き換える用途で用いられています。

換喩を使った例文
  • ホワイトハウスは新しい政策を発表した。
    (アメリカ政府・大統領のたとえ)
  • 彼女は筆一本で生計を立てている。
    (執筆活動のたとえ)
  • 彼の夢は教壇に立つことだ。
    (教師になることのたとえ)

転喩(てんゆ)

転喩は、先行する物事をもって後続を示す比喩表現です。

たとえば「新しい教科書を買い揃えた」の一文があると「新学期のはじまり」を連想できます。

転喩には、読者に具体的な情景を思い起こさせる効果がありますよ。

また、後続する物事から先行する状況を示す場合もあります。

たとえば「バナナの皮を踏む」という表現は、すべって転んだことを暗示する典型的な転喩です。

状況を想像させることで、文章に臨場感を与える効果も期待できます!

転喩を使った例文
  • 彼女は念願の採用通知を受け取った
    先行する物事をもって後続を示す(採用通知を受け取った⇒就職先が決まった)
  • 惜しまれながらも彼はユニフォームを脱いだ
    先行する物事をもって後続を示す(ユニフォームを脱いだ⇒引退する)
  • バナナの皮を踏んでしまったのだろう。
    後続する物事から先行する状況を示す(転んでいた⇒バナナの皮を踏んでいた)

提喩(ていゆ)

提喩は、上位概念を下位概念(またはその逆)で表現する比喩表現です。

たとえば「花見」という表現は、実際には桜を見る行事を指します。

しかし、花という桜の上位概念を用いて表現しているのが特徴です。

「お茶をする」という表現も、飲み物を表現する提喩です。

提喩は、日常表現を簡潔にまとめるのに便利です。

共通認識しやすい表現にたとえることで、汎用的に活用しやすい言葉として置き換えられます。

提喩を使った例文
  • そのプロジェクトには多くの手が加わっている。
    (参加者を下位概念の”手”にたとえている)
  • あの町には多くの煙突が立ち並んでいる。
    (工場が立ち並ぶ様子を下位概念の”煙突”にたとえている)
  • 感動的な映画に全米が泣いた。
    (映画を見た人を上位概念の”全米”にたとえている)

諷喩(ふうゆ)

諷喩は、たとえだけを示して、その意味を読者に推測させる比喩表現です。

読者に考えさせることで、文章の意図を深く理解させたり共感を生み出したりする効果があります。

たとえば、ことわざ「井の中のかわず大海たいかいを知らず」も諷喩を用いた文章例です。

「井の中の蛙」という比喩を使って、狭い世界しか知らないことを表現しています。

動物や自然現象を使った諷喩は、日常会話でも意外に多く使用されていますよ。

諷喩を使った例文
  • ウサギとカメのような同期。
    (同期の関係性を童話の内容でたとえている)
  • この時間があればカップラーメンを食べられた。
    (待たされた3分ほどの時間を”カップラーメン”でたとえている)
  • 地に足をつけたほうがいい。
    (能力や状況と釣り合っていないことをたとえている)

活喩(かつゆ)

活喩は、物事を生き物のように擬人化する比喩表現です。

たとえば「空が泣いている」という表現は、雨が降っている様子を「泣いている」と擬人化しています。

情景を生き生きと描写できるので、感情表現や雰囲気を強調する役割に効果的です。

神話や英雄の物語を描写した古代ギリシャの詩人「ホメロス」の作品は、活喩の効果的な使用例としていまもなお研究されています。

活喩を使った例文
  • 夜が静かに街を包み込んだ
  • 荒れ狂った嵐が街を襲った。
  • 山間にひっそりとたたずむ老舗旅館。

音喩(おんゆ)

音喩は、擬音語や擬態語を使って表現する技法です。

たとえば、心臓の鼓動を表現する「ドキドキ」という音喩は、緊張や興奮の感情を音で伝えています。

日本語は、とくに擬音語や擬態語が豊富な言語です。

読者に具体的な心境や雰囲気を伝えられるため、文章に臨場感を加える効果があります。

「ザーザーと降る雨」や「キラキラと輝く星」など、音喩によってニュアンスや情景を具体的に表現できます。

音喩を使った例文
  • ワイワイと遊んでいる。
    (楽しそうな雰囲気・若い子の様子をたとえている)
  • チクタクという音が響く。
    (時計の音をたとえている)
  • パラパラと屋根を打つ音が聞こえる。
    (雨が降りはじめた音をたとえている)

奇想(きそう)

奇想は、まったく関連性のないものを結びつける比喩表現です。

論理の飛躍や意外性を重視した独特な発想によって、読者に強烈な印象を与えられます。

奇想を用いた文章では、松尾芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」という句が有名です。

夏草と戦国武将たちの夢を結びつけ、戦いに敗れ去った儚さと歴史の移り変わりを感じさせます。

斬新でユニークな発想は、文章のオリジナリティを高めるのに効果的ですよ。

奇想を使った例文
  • コーヒーの香りが思考の扉を開ける。
  • うるさい彼の口をチャックで閉じてくれ。
  • 芸術は爆発だ(岡本太郎の言葉)。

比喩表現に似ている技法

文章で読者を引きつけるには、比喩表現に似ている2つの技法を活用するのも効果的です。

代表的な技法には、擬人法・象徴があります。

技法使い方
擬人法物事を人間のように表現する
象徴抽象的な概念や思想を表現する
技法使い方
擬人法物事を人間のように表現する
象徴抽象的な概念や思想を表現する

上記の技法を活用することで、文章表現の幅が広がりますよ。

擬人法

擬人法は、モノや自然現象などをあたかも人間のように表現する技法です。

たとえば「風がささやく」や「月が微笑む」のように、親しみやすく生き生きとした情景を伝えられます。

文章で読者の感情を刺激するには、人間の感情や行動を投影するのが効果的です。

とくに子ども向けの絵本や童話では、擬人法が積極的に用いられています。

読者が身近に感じる情景や物語を創り出すなら、擬人法はとくに効果的な表現方法です。

擬人法を使った例文
  • 風がやさしく耳元でささやいた
  • 月が微笑むように夜空で見守っている
  • 花が踊るように風に揺れている。

活喩と擬人法は違う?

擬人法は、活喩で用いられる技法のひとつです。

とくに使い分ける必要はありませんが、以下のようなニュアンスの差があります。

  • 活喩:物事を生き物(人を含む広義)にたとえる
  • 擬人法:物事を人にたとえる

たとえば「風に乗ってはばたくように、紙飛行機が飛んで行った」であれば、紙飛行機に鳥の姿を連想させる「擬人法を用いていない活喩」の比喩表現です。

「太陽があたたかく微笑んでいるようだった」であれば、微笑む人の姿を連想させるため「擬人法を用いた活喩」と判断できます。

象徴

象徴は、抽象的な概念や思想を具体的な形や事柄で表現する技法です。

象徴には、言葉に深い意味を与え、読者に強い印象を与える効果があります。

たとえば、ハトは平和の象徴。赤いバラは愛の象徴として用いられています。

また、象徴は、文化や社会の共通認識に基いているのも特徴的です。

象徴を理解すると、文章の背景や作者の意図をより深く読み取れますよ。

象徴を使った例文
  • 桜の季節がやってきた。
    (春の象徴として”桜”を用いている)
  • 「奇跡の一本松」が人々の心を支えた。
    (震災復興の象徴として”奇跡の一本松”を用いている)
  • 現地でサムライブルーを応援しよう。
    (サッカー日本代表の象徴として”サムライブルー”を用いている)

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まとめ|印象に残る比喩表現を使いこなそう!

今回は「9種類の比喩表現」をテーマに、以下のコンテンツを解説しました。

比喩表現を使い分けることで、文章に視覚的なイメージや感情的なニュアンスを加えられます。

また、複雑な概念をわかりやすく伝えられるため、印象的で記憶に残る文章の執筆が可能です。

文章表現の幅を広げたいときには、今回解説した「9種類の比喩表現」を参考にしてみてください。

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